殺戮都市~バベル~
俺の中の、二つの戦いが終わった。


南軍最強の男、「荒獅子」黒井風助と、幾度となく俺の邪魔をして、大切な人を奪った悪魔の女、広崎明美。


降りしきる雨の中、その勢いに負けるように、俺はその場に膝を付いた。


左腕を失い、さらには肺までランスで貫かれてしまっている。


気絶どころか、出血多量で死んでもおかしくない状況だ。


「いかん!しょ、少年!」


雨音に掻き消されそうな、恵梨香さんの声。


命を燃やして戦った黒井に、俺は応える事が出来たのかなと、薄れ行く意識の中で考えていた。


そして地面に倒れる瞬間……。


俺は誰かに支えられて、倒れるのを回避する事が出来た。


「……真治君、遅くなってすまん。もう戦いは終わったようじゃな。真治君の……連合軍の勝ちだ」


この声は……バーコードのおっさん?


はは。


どうせ受け止められるなら、恵梨香さんの方が良かったかな。


などと考えながら、俺はゆっくりと目を閉じた。


身体を打ち付ける、激しい雨を感じながら。


しばらくして、暖かい感覚に包まれたのを……俺は気持ち良く感じた。


まだ……本当の終わりを迎えたわけじゃないという思いと共に。
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