殺戮都市~バベル~
少しして、目が覚めた恵梨香さんが慌てて俺の顔を覗き込んだ。


「あ、お、おはようございます」


至近距離で目が合い、それしか言えなかったけど……問題は俺よりも恵梨香さんだった。


「わ、わわっ!お、起きているなら起きていると言え!こんな近くで……恥ずかしいではないか」


驚いた様子で手を放し、上体を反らせる。


何か……こういう何気ない日常みたいな雰囲気は、安心するよな。


「恵梨香さん、俺はどうしてここに?その……記憶がなくてですね」


ゆっくりと身体を起こし、恵梨香さんに尋ねる。


「フッ。少年Bに感謝するんだな。あの大雨の中、ゆっくり休めるこのホテルまで運んでくれたのだからな。手伝うと言っても聞きやしない。少年に借りを返したかったのだろうな」


少年B……三笠か。


貸しがあるなんて思ってなかったのに、俺を運んでくれたのか。


「全く。三日も眠ったままで。もう目覚めないかと心配したぞ」


「えっ?恵梨香さん、三日も俺に付いててくれたんですか?」


「バ、バカ!少年が三日眠っていたと言っただけで、私が三日いたわけでは……う、うん。私が付いて……た」


半分パニックになっていた恵梨香さん。


照れながら俯いて、小さく頷いた。
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