殺戮都市～バベル～
色んな軍に行ってるって言ってたけど、吹雪さんの他に仲間がいないし、どうしてなんだろうと思っていたけど……こういう事だったか。


こんな誘い方じゃあ、誰も仲間になってくれないはずだよ。


「まあ、吹雪がいるから行っても良いんだけどね。今すぐにってのは……まだ考えてないんでしょ？」


ポリポリと頭を掻きながら、部屋にいる人達を見回しながら雪子さんが尋ねる。


「そうだな、塔の中には何があるのかもわからない。最低でも10人くらいは欲しいな」


「10人って……全然足りないじゃんよ。そもそもどういう基準で10人なわけさ」


「む、人数が足りてないのは認める。だからこうしてせっせと勧誘をだなあ……」


ヘルメットを脱ぎ捨てて、雪子さんに反論をする恵梨香さん。


そんな二人のやり取りを聞きつつも、俺は視線を奈央さんに向けていた。


窓の外を見て、少し寂しげな表情。


沼沢の事を考えているんだろうな。


奈央さんを助ける為に西軍までやって来たけど……何だろう、この気持ちは。


沼沢に勝って、奈央さんを助け出したら、もっと大喜びすると想像していたのに。


「……真治君、ちょっといい？」


そんな事を考えている俺に、里奈さんが声を掛けた。
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