殺戮都市~バベル~
「つまり……沼沢は最初から皆を助ける為に?」


「あ、それは違うと思う」


あっさり否定したな。


だったら何だったんだよ今の話は。


「最初はね、本当に奈央さんを奪おうとしていたんだと思うけど、雪子さんが『こっちはこの子を預かってんだ。無理矢理連れ去るのは、私が許さないよ』って脅したから、仕方なく理由を付けたんだと思うの」


そんな話が……ってか、随分適当だな。


俺は奈央さんを奪われまいと必死に戦って、殺されたってのにさ。


「それで、どうしたんですか?」


沼沢と雪子さん。


武器は明らかに沼沢の方が上だけど、戦えばどちらが強いのかな。


……なんて、考えるだけ無駄か。


援護があったとは言え、俺が沼沢に勝ったくらいだからな。


「沼沢が提案したのは、奈央さんがここにいるって噂が流れるから、多くの人が集まる。それなら自分の拠点に連れて行くって話なの」


「……それって、結局連れ去るのと同じじゃないですか」


理由が追加されただけで、内容はほとんど変わってないんだけど。


「うん。だから雪子さんは条件を付けたの。真治君が必ず奈央さんを奪い返しに行くから、絶対に手を出すんじゃないってね」
< 365 / 1,451 >

この作品をシェア

pagetop