殺戮都市~バベル~
~同時刻・西軍~

「うっ!!おえええっ!!」


突然の吐き気で目を覚ました俺は、ソファから落ちて床に身体を叩き付けられた。


「いてて……俺は……死んだのか?」


覚えているのは、出血が酷くて徐々に体温が失われていく感覚と、俺を支えてくれていた温もり。


起き上がって部屋の中を見回すと……今までいた、好きになった人の姿は見えない。


あれから何日経ったんだ?


俺は、何日復活出来なかった?


PBMをポケットから取り出して、時間を確認しても、詳しい日数はわからない。


「……行ってみるか、あの場所に」


腹も減ったし、外に出なければならない事に変わりはないから。


薄汚い工場の事務所。


住むには不自由なこの場所が、俺には居心地が良くて。


デスクの上に置かれた、この場所には不釣り合いな女性物の服。


一度も袖を通してくれなかったなと、目を閉じて思い出し、俺は事務所を出た。


戦闘が始まっている様子はない、いつもと変わらない静かな工場地帯。


カンカンと、金属の階段を下りて、工場の門の方に歩いて行った時だった。










「沼沢!?あんたやっと復活したの!?」








どこからか、俺を呼ぶ声が聞こえた。
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