眠りにつくその日まで
駅に着いて、改札を抜ける。
「…あれ?」
自動販売機の脇。
いつものところに、美羽はいなかった。
キョロキョロと、辺りを見渡してもそれらしき人影は見当たらない。
トイレかな?と私は深く考えず、スマホを開く。
何の連絡も、来ていなかった。
寝坊かな、と思いメッセージを送る。
『おはよ!どうしたー?まだ寝てたりして??』
しばらくしても、既読がつかないのを見て、やっぱりまだ寝坊だと確信した。
起きろー!と言っているスタンプを連打する。
…しかし、反応がない。
電話をかけてみても、繋がらない。
…仕方がない。先に行こう。
『先行ってるね。』
そうメッセージして、私は1人通学路へ進んだ。
妙にピンク色のアジサイが、私を生暖かく見守っているような気がした。