今しかない、この瞬間を
そうは思えど、どう切り出したらいいのかわからなくて、その日のうちに仲直りすることはできなかった。

彼も動揺しているのが伝わるから、気持ちばかりが焦って来る。


今、一番、辛い思いをしているのは、多分、彼だ。

もしかしたら、誰かにそばにいてほしいって思ってるかもしれない。

話だけでも聞いてあげたい。

私にできることがあるのなら、彼の力になりたい。


だけど、私が朱美さんとの関係に気付いていることを、彼は知らない。

このまま一人で抱え込んで苦しむことになっちゃったら.......


って、あれ？

陽成君を見なくなってから、もう何週間か経ってるよね？

ということは、いなくなったのって、つい最近とかじゃないんだよね？


でも、彼の様子がおかしかったことって、あったっけ？

ずっといつもの調子だったから、全然わからなかった。


私がボケっとしてただけで、本当は落ち込んでる時期があったのかな？

だとしたら、まったく彼の気持ちを汲んであげられなかった私って、ダメダメじゃん。

こんなに近くにいるのに気付かないなんて、恋人に立候補する資格ゼロだ。


あぁ、もう、どうして？

なんで、こんなに上手く行かないことだらけなんだろう。


こんなんじゃ、朱美さんの代わりなんかになれないよ。

彼の気持ちに寄り添うどころか、そばにいるのに変化にも気付いてあげられないなんて。

彼が何を考えているのかもわからないし、どんどん自信がなくなって行く。

これから、私、どうすればいいのかな.......
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