彼の優しさ

side 結城 藍


6月下旬。試験勉強の為に部屋に篭っていた。

(傷痕はたまにじくじくと痛む事もあるが今は抜糸が済んであと2回通院をすれば終わりだと医者に言われた。)

わたしが目指している製菓の専門校は家から電車と徒歩で20分程の所にある。

何としてでも!と気合いを入れて勉強をしていた。

午後5時半位に玄関のチャイムが鳴って出てみると鈴花伯母さんだった。

とりあえずリビングに通してお茶を出すと鈴花伯母さんが

「頼みがあって、来たのだけど夏のお祭り、巫女として舞台に上がって貰えないかしら?」

……え?

「あの、わたし今年受験生なのですが…。」

絶対学校に入る為にも時間が取られるなんて無理!
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