敏腕社長に拾われました。
宮口さんの反応を窺えば、納得してない?
「ちょっとした知り合い、ねぇ」
腕を組み、綺麗なおみ足も組み直すと、何かを考えているのか私の顔をじっと見る。
ちょっとした知り合いなんて曖昧な言い方、無理があったかしら。でもやっぱり拾われましたとは言えないし……。
何とかこの場を逃げ切りたくてアハッと作り笑いをしてみたけれど、大きなため息をつかれてしまった。
「まあいいわ。あなたが言ったことが本当か、これから一緒に働けば分かることだから」
「はあ……」
たぶん何も分からないと思うけど。だって虎之助と私は、本当になにもないんだから。
でもまあこれで、今日のところはお役御免ってところだろうか。
なんて、そう簡単には終わらないか。
反対側に座っている長坂胡桃が、目をキラキラさせて私の顔を覗きこんだ。
「もう終わりですか? もう少し問い詰めれば、自白すると思うんだけどなぁ」
って、私は犯罪者か! 自白も何も、無実潔白!
もうホントに勘弁してもらいたい。あなた達、今は仕事中でしょ? だったら私のことなんか放っといて、仕事に集中すべき!
と思っていたのは私だけじゃなかったみたいで。
「ふたりとも、ここをどこだと思っているんです。長坂さん、あなた私が依頼した件、もう片付いたんですか? 宮口さんもこんな小娘ひとり来たぐらいで、何を取り乱しているんです」
永田さんが、代弁してくれたんだけど。
こ、小娘って、私にことですか?
この人だけはまともだと思っていたのに、とんだ大誤算だったみたいで。
秘書室は敵だらけ?
虎之助、覚えてらっしゃい! 今晩、うんと懲らしめてやるんだから!
この怒りの矛先を虎之助に向けると、少しだけ気持ちがスッキリした。