3つの視線、1つの物語

朝食の後
ノアに言って桃の庭に連れてきてもらった

もう、桃の実は無い
そんな、ただの木になった桃の木をベンチに座りボーっと見る

視野の隅でノアがレディナに何かを喋りかけているのが見える

いいな…
私も猫になって思いっきりノアに甘えたい

結婚しなきゃダメなのかな?
…ダメなんだよね

ノアを選んじゃダメなのかな?
…無理なんだよね

どうしたらいいの?
どうしたらノアを諦められるの?

こんなに辛い思いするなら…
出会わなければよかった

そこまで考えていると、急に視野の真ん中にノアが現れた


「どーなさいました?」


ノアが私の前に跪いて私を見上げている
とても、心配そうに…


「…………」


まっすぐ私を見てくれるノアの瞳
欲しい物が目の前にあるのに…手が届かない




< 154 / 324 >

この作品をシェア

pagetop