3つの視線、1つの物語
朝食の後
ノアに言って桃の庭に連れてきてもらった
もう、桃の実は無い
そんな、ただの木になった桃の木をベンチに座りボーっと見る
視野の隅でノアがレディナに何かを喋りかけているのが見える
いいな…
私も猫になって思いっきりノアに甘えたい
結婚しなきゃダメなのかな?
…ダメなんだよね
ノアを選んじゃダメなのかな?
…無理なんだよね
どうしたらいいの?
どうしたらノアを諦められるの?
こんなに辛い思いするなら…
出会わなければよかった
そこまで考えていると、急に視野の真ん中にノアが現れた
「どーなさいました?」
ノアが私の前に跪いて私を見上げている
とても、心配そうに…
「…………」
まっすぐ私を見てくれるノアの瞳
欲しい物が目の前にあるのに…手が届かない