ギャンブルワールド
そして夕方。


嵐は狙い通りに大勝ちをした。


朝10時から打って夕方5時に辞めた。


たった7時間で15万の勝ちである。


(はい。今日も大勝ち、まいどあり!)



そして嵐が次に向かうのは工事現場である。



この工事現場では毎日作業終了したら『チンチロ』や『カブ』といったギャンブルをするのである。


工事現場のおっちゃんや全く関係無い大学生や定年退職した爺さんなどが集まる。



嵐も半年前から毎日ここに通い、毎日勝っている。


ただし、みんなの人間関係を壊さないように勝っている。


つまり大勝ちをせず小勝ちをしているのである。


工事現場のおっちゃん等は負けが込みいってキレると何をするか分からないからである。




しかし、この日の嵐は違った。


「はいゾロ目!」


チンチロであっさりゾロ目を出す嵐。


周りのおっちゃん達も険しい顔をしている。


実は嵐は今日でこの現場に来るのを辞めるつもりである。


毎日気を使ってわざと負けるのに嫌気が指したのである。


だから最後に大勝して姿を眩ますつもりである。







「ああクソ!ぼろ負けだ!明日は絶対今日の負け取り返すから絶対明日来いよ!」


柄の悪いおっちゃんが嵐にキレて言う。


このおっちゃん、嵐を疑っており、明日も大勝するもんなら痛い目に合わせようと考えている。


嵐はそんなおっちゃんの考えを読んだ上で笑顔で言う。

「分かりました。明日必ず勝負しましょう。」


そう言い、嵐は心の中で「ザマァ…」と笑っていた。



嵐は今日のチンチロだけで40万の勝ちである。


参加人数35人から1万円ずつ(さっきのおっちゃんからは6万円)搾り取ったのである。


しかし明らかにみんな不審に思っていた。



もちろん嵐もそれに気付いている。








そして嵐はスーパーで半額の弁当とサラダ、お茶にシュークリームを買って家に帰る。
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