心の傷と爪痕を辿って
初めて施設に預けられた時、あたしは誰で、
一体何なのかを何度も何度も思い出そうとした。
それから、毎日毎日周りの人間に聞きまくってた。
でも、返ってくる言葉はいつも同じ。
−君はそんな事知る必要無いんだよ−
何で?どうして?あたしの事なのに…
−これからの人生は今から作って行くんだから、
前がどうだったかなんて別にどうでもいいんだよ−
何度も繰り返されるこの言葉達に、
あたしはいつしか洗脳され、
毎日毎日変わらない同じ答えばかり聞いてもしょうがないと思って、
もう聞くのも
思い出そうとするのも
止めた。
過去を知ったところで今が何か変わるわけじゃないんだから。
それに、
今現在普通に生活出来ている。
特に何の問題も無いし、
困らない。
そう思ったら少し楽だったから。
完全に逃げてるってわかってたけど、
楽だったから…