自白……供述調書
警察対警察
 本間刑事は、もう上がりの時間だったが、自分の机から離れなかった。

 ある人物の身辺調査を内密に行っていたのだが、最近になって自分が何者かに監視されている事に気付いた。

 警察官の行動を監視するとすれば、100%本庁公安部監査係の仕事である。

 公安部は、警察官の不正や犯罪、又は犯罪組織との癒着を監視し、摘発する内部組織である。

 警察内部の自浄組織だが、その実態は外部に警察官の不祥事が漏れないようにする為の部署だ。

 その公安が自分をマークしている……

 心当たりは当然ある。

 十中八九、光が丘の件である事は間違いない。だが、不正をしている訳では無い。

 職務の合間を見てやっているだけだから、職務怠慢で挙げられる理由も無い筈だ。となれば、考えられる点は、単純に光が丘の事件をほじくらせない為としか思えない。

 解決済みの事件をほじくり返し、別な容疑者が現れでもしたら、ややこしい事になる。先にホシを挙げた警察署の面子は丸潰れも同然だし、調べている事自体が外部に漏れれば、警察自らミスを認めた事になる。既に犯人は逮捕され、事件は解決しているのだ。

 犯人は二人も要らない。

 そういった状況下の中で、本間は木山事件の裁判の行方を見ながら、その男を調べ続けていた。

 間中邦弘

 28歳

 中野区在住となっているが、現在はそこには住んでいない。

 無職。

 たまに日払いのバイトをしたりしているが、この一年まともに仕事をしていない。

 本間刑事が間中邦弘を数多くの容疑者リストの中から絞った時点で、捜査本部は間中を犯人であると睨んだ。





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