自白……供述調書
 川村大輔の逮捕は残念ながら成し得なかった。

 事件から丁度一年が経った8月10日の早朝、容疑者川村大輔は実家である荒川区の副総監宅の風呂場で自殺しているのを発見された。

 左手首をカッターナイフで切った後、更に首を切り、深さ5㎝以上に達した傷は、頸動脈をも断ち切っていた。

 第一発見者の母親は、その後心労の為、都内の精神病院に入院した。

 発見当時は、自宅及び実家には遺書は残されていなかったが、波多野涼子宛ての携帯電話に

『ゴメンm(_ _)m』

 とのメールが送られていたのが判明した。

 当初、マスコミには取り上げられなかった川村大輔の自殺であったが、数日後、被疑者死亡のまま光が丘事件の犯人と断定し書類送検された事が明るみになり、一斉に各社が紙面トップでニュースにした。

 単なる殺人事件の犯人自殺以上にセンセーショナルだったのは、その父親が警視副総監であった事である。

 更に数日を経て、その後の警察内部の調査から、組織ぐるみの隠蔽工作があった事が判明し、連日ワイドショーなどでも大きく報道された。

 警視庁創設以来の大規模な処分が発表されたのは、川村大輔の自殺から三週間後の事であった。






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