自白……供述調書
 夜勤明けの本間はトレーニングウェアに着替え、最近日課にし始めたジョギングに出ようとした。

 毎日とはいかないが、一日置き位のペースで走っている。

 朝の皇居周辺は、一般のジョガーに混じって、本間同様警察官が多く走っている。

 目の前に警視庁がある事もそうだが、警察官の官舎が武道館の近くにある事も関係しているのだろう。

 本庁建物の入口に立つ職員に挨拶をし、お堀端に向かおうと走り出した本間は、日比谷方向から歩いて来る阿久根の姿を見付けた。

「よお!」

「チョーさん」

「走ってんのか?」

「ええ」

「少し話さないか。歩く位だったら俺でも付き合える」

 二人は並びながら、お堀端を歩いた。

「まさか自殺されちまうとはな……」

「結局、真相は川村が墓場に持ってっちまいましたね」

「うん。残念だがな。親父の方に何処迄真実を喋っていたか……」

「しかし、自分達も一歩間違うと間中を誤認逮捕してた可能性があったかと思うと、ちょっと考えちゃいますね」

「そうだな……」

「チョーさん、練馬に戻ったそうっすね?」

「うん。又、青瓢箪の面見なきゃならないよ」

「奴も運がいいなあ、ぎりぎり関与無しでお咎め無しなんだから」

「奴にしたって真相は何も知らされず、上の言われるままに俺達を監視してただけだからな」

「しかし、どういう顔してチョーさん迎えるんだろ」

「写メに撮って送ってやろうか?」

「勘弁して下さい。やっとあの陰気な面忘れ掛けてんですから」

「近々やるか?」

「いいっすね。佐藤先輩も声掛けますか」

「チューハイ三杯迄だぞ。それ以上は割り勘だ」

「ええ!?又ですかあ!?」

 二人の横を数人のジョガーが走り去って行った。





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