ハッピーアワーは恋する時間
「・・はぃ?」

いつの間にかすぐ近くに立っている、背の高い亜幸さんを上目づかいで仰ぎ見ながら、私はおずおずと返事をした。
なんかまた・・・私の鼓動がドキドキとせわしなく高鳴り始めたような気が・・・。

「俺、明後日休みなんだ。スタンバイでもない、完全な休み。未散は?」
「わたしは・・・私も、休み」
「そっか。じゃあ明後日は、昼前くらいから出かけよう」
「うっ。えっーと。亜幸さ・・」
「何だよ。まさかとは思うが、先約アリか」
「え!いや・・・ありま、せん」
「よし」と言った亜幸さんは、お店の入口近くにいる、刑事のパートナーとおぼしき男の人に手を上げると、「今夜電話する」と言って、スタスタと歩き出した。

「あ!亜幸さん待って!」
「何?」
「ブーケ・・ありがとう」

お礼を言った私に、亜幸さんは切れ長の目を細めてニコッと笑って応えると、佐久間さんと少しだけしゃべって、「ライラック」を出た。

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