氷の唇、熱い狩人
冷たい、熱い




「何をやっている」



自分が人に知られたくないことをしているとき、いきなり後ろからそんなことを言われたら、肩を揺らすのは当然の摂理だとわたしは思う。


それが見目麗しく、北極南極の氷もびっくりの冷然なオーラを普段から放っているやつなら尚更だ。



「あ、あははは……」



誤魔化すようにヘラリと笑ってはみたものの。



「………」


「………」



……うん。結果、空気が更に冷たくなった。


対応間違えたな、わたし乙。死亡フラグたっちゃったよ。


マジ泣きてぇ。



「あー、えっと……あっ、相原 玲(あいはら れい)くんじゃないですか!こんなところで何してるんですかぁ?」


「湯佐 真鶴(ゆさ まづる)、君は馬鹿か?

質問は俺が先にしている。まずはこっちの質問に答えるのが筋だと思うが」



敵は絶対零度の瞳を向けてきた。


浮かべていた笑顔がひきつったのは仕方ない。自然現象だ。






< 1 / 23 >

この作品をシェア

pagetop