【完】サックスパートの日常
「……結菜先輩、あなたの後輩は全く反省してませんが?」
冷たい口調でそう言う和樹くん。
「ちょっ、待って!これ先輩責任!?私が全て悪い!?しかも和樹くんの同級生でもあるよ?」
「は?だからなんなんですか。」
「すみませんでした。」
怖い、怖いよ…和樹くん!
「てか、なんで怒ってるのかわかります?その前に俺怒ってないけど。」
「それは…カバン漁られたからじゃ…。それに、怒ってるんじゃ……」
私がそう答えると和樹くんは盛大なため息をつきました。
「なわけないです。そんなことで怒ってたら毎日怒らなきゃいけないじゃないですか。
俺は呆れてるんですよ。」
実のところ、和樹くんが今まで怒ってるところを私は見たことがなかった。
隣で和樹くんのカバンを漁りながらワイワイ楽しそうにやってる空気読めない女子達を横目にそう思う。
「ここ、どこかわかります?」
「…生徒会室前……」
私がそういうと和樹くんは満足げに頷く。
「そうです。別に俺はカバンを漁られたってからかわれたって構いませんよ。
でも、こんなところまでワザワザ来て俺のカバン漁ってるところを他の人たちに見られたらどうです?
俺は嫌ですよ。俺は先輩とかそこの空気読めないやつらのいいところたくさん知ってるし、大好きです。
だからこそ、他の人に悪い印象を与えたくないんです。わかります?」
すごく優しい和樹くんに涙をこらえてると、
「ごめん、竹田。少し口出す。」
生徒会長の男子が話しかけてきました。