初夏…君を想う季節
走り出した何か
「堂々と言えないと思っていたのですが
そうではないんでしょうか?
私何か勘違いしてしまったみたいで
すみません。」

「俺は別に公言しても構わないと思ってる。
確かに生徒と教師という関係だが、
そこまでプライベートな事を
誰かにとやかく言われる筋合いはないと思ってるから。
いや、いいんだ。ごめん。今のは俺が悪い。」

「そうですか…。でも、そのことで雪さんが
色んなことに巻き込まれるのは…。
はぁ…はい。じゃぁそういうことにしておきます。」

「今の間は隠しておくが、何か取り沙汰された時は
隠す必要もないと思っているから。
それに、誰かに何かを言われたからといって
そう簡単に好きになった人間を手放せるような
出来た人間じゃないことをわかっていてくれ。」

「分かりました。その時は言って頂いて結構です。
雪さん、それ以上は自惚れてしまいますから。」

「わかった。そうする。
何を言ってる?自惚れてくれて構わない。
なんだったらどれ程君のことが好きか
今ここで1時間語ったっていい。
まだ30年しか生きていないけど
それでも俺の全部で幸せにしたいと思える人なんて
もう現れないかもしれないと思ってるんだ。」

「も、もう分かりましたから。
どうしてそんなことを恥ずかしげもなく言えるんですか。
先生はいつもそう。私よりもずっと先を歩いてる。
ずるいです。私だって気持ちじゃ負けてません。」

「はは、ごめんごめん。
君を見てると声を聞いてると
どうしても言いたくなるんだ。
ずるいか…それは申し訳なかった。
そんな風に思わせていたなら改める。
一緒に歩いていきたいんだ。
美桜の歩幅に合わせられるよう最善を尽くすよ。
嬉しいことを言ってくれるね。」
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