いつだって僕らは
屋上から出て、階段を降りていく。
笑顔を見せてくれたけれど、さっきの横顔が忘れられない。あんなに切ない表情の藤谷は、初めて見たから。

階段を降りながら、藤谷の隣に立ってみる。

やっぱりまだ、少し切な気な表情。

「藤谷」

あたしは階段を降りていた足を止めて、藤谷を呼んだ。

「ん?」

気の抜けたような表情で答える藤谷。でも表情は少し切な気な表情のまま。

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