アクアブルーのラヴソング
(本当に興味があるの?それともただ軽い気持ちで尋ねただけ?)

彼女のまなざしは、まるでぼくにそう問いかけているようだった。
死ぬほど興味があるというわけでもなかったが、とりあえず聴いてみたかったので、ぼくは彼女の目をみつめたまま、イエスの意味を込めて微笑んだ。すると、彼女は目を金箔のようにキラキラさせながら満面の笑みを浮かべ、手に持っていたジンジャーエールを一気に飲み干すと、空のグラスをトレイの上にドスンと置いて
「Wait, I wrote a pretty nice song last night!(待ってね!夕べめちゃくちゃいい曲書いたの!)」
と声高に言った。
彼女は落ち着きのないステップでぼくの背後に回り、せわしなく引き出しを開けると、歌詞とギターコードの書かれた、一枚のバインダーペーパーを取り出した。そして紙の両端を引っ張るようにしてつかむと、ぼくに見えるように掲げた。口元が隠れているが、こぼれんばかりの笑みを浮かべているのがわかる。
ぼくは、彼女の抑えている喜びがこちらに伝染して、アメリカに来て以来一番の笑顔を浮かべてしまった。
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