誰よりも大切なひとだから。



「みんな、部活やってるの?」


里ちゃんは結構知りたがりらしく、色んな質問をしてくる。


「俺は帰宅部です」


長野くんが答える。


里ちゃんの視線がこっちに向けられて、私も答えた。


「私は和太鼓部です」


「へぇ、すごいね。近藤さん。和太鼓って、腕とかすごく力がいるんじゃないの?」


「そうですね。日に日に、筋肉がついていきます」


冗談めかして笑うけど、これは事実。


先輩の演技に憧れて入った部活だが、どこが文化部やねんと言うほど、ハードだ。


毎日、筋トレから始まり、走り込みもする。


日頃の練習の賜物か、どっかのなよなよした草食系男子よりも、筋肉はあると思う。


「この頃じゃ、帰ったら疲れてすぐに寝てます。友達とラインしてても彩芽ってすぐ寝るからやだって言われちゃうくらい」


「寝落ちなー!俺もよくする」


長野くんが笑った。


「俺なんかさー。仰向けのままスマホやって、寝落ちするから、いつも顔面にスマホが落ちてくんねんなー」


「それは、絶対痛いやつやん」


「そう。その痛みでまた目が覚める」


話を聞いていた人たちが、そりゃあそうやろ!と笑い出す。


里ちゃんも楽しそうに笑っている。


「よく顔が腫れやんね」


私が言うと、長野くんは急に真顔に戻って、頷いた。


「うん。ありがたいことに、腫れてない」


思わず吹き出した。
長野くんは、人を笑かすのが得意なようだ。


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