誰よりも大切なひとだから。
大きな皿が二皿くらいあっという間に空になった頃だろうか。
目の前の東先生が心配そうに眉を寄せた。
「大丈夫か?長野」
先生の視線も里ちゃんの視線も、長野くんに向いていて、生徒たちも彼に注目した。
体を乗り出して、その顔を覗き込む。
……長野くんの唇は紫色で、頬は真っ白。
ガタガタと震えている。
「長野。寒いんか?」
東先生の言葉に長野くんは言葉もなく、コクコクと頷いている。
「あ、長野。じゃあ、席交代しよ。ここ、ヒーター当って暑いくらいやねん」
東先生の隣に座っていた男子がそう言って、席を代わった。
長野くんが友達の影になって隠れていたが、この位置だとまっすぐ顔が見れるようになった。
よく見ると、彼はパーカーしか着ていない。
隣の寒がりともみんなんて、マフラー、コート、ブーツ、手袋(さすがに食事が始まったら脱いだけど)まで完全防備だというのに。
見かねた里ちゃんが、息子さんがかつて着ていたらしいジャンバーを持ってきて、彼に着させた。