痛々しくて痛い
そもそも仕事を覚える以前に、あのきらびやかなメンバーの中に上手く溶け込んで行けるのかどうかさえ怪しいというのに。


まずはその試練からクリアしなくちゃいけないんだよね…。


元々ダークな色彩に染められていたメンタルが、さらに暗く翳りを帯び始めたのを感じた所でハッと我に返り、慌ててそれを払い除けた。


い、いかんいかん。


これから仕事をこなさなくちゃいけないんだから、呑気にアンニュイ気分に浸っている場合じゃない。


しっかりしろ、アミ。


熱血体育教師のごとく、無理矢理自分自身を奮い立たせながら、いつの間にか止まっていた足を力強く踏み出し、建物裏のスタッフ通用口を抜けた。


次いですぐ右手にある休憩室のドアをノックすると、間髪入れず中から「はーい」と声がした。


「あ、綿貫さんお疲れー」


そっと開けると、ちょうど午後休憩に入っていたらしい店長が、自分のデスクからマグカップ片手に笑顔で労いの言葉をかけてくれた。


室内に充満している香りから、中身がコーヒーである事はすぐに察知できた。


「ただ今戻りました」


『古巣に帰って来た』という安堵感もあり、思わずつられて頬が弛みそうになったけれど、慌ててそれを引き締め、続ける。


「お忙しい所急遽抜けてしまってすみませんでした」

「何言ってるの。本社からお呼びがかかったんだから仕方ないわよ。で、どうだった?」
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