痛々しくて痛い
そういう体験をした漫画家さんは実際にいるらしく、決して優子ちゃんの被害妄想という訳ではないのだ。


というかデビュー前から、持ち込み投稿をした際編集部の方に「漫画家に限らず、有名になると自称『友達』や『親戚』が一気に増えたりするから気を付けなさい」と言い含められていたらしい。


だからこそ優子ちゃんは慎重に行動していた。


『ヒドイのだと、当人の作品なんか最初から見向きもしないで『〇〇先生のサインもらってきて!』なんて図々しいお願いをして来る人もいるらしいからね』


優子ちゃんはいかにも呆れ果てたような声音で続けた。


『申し訳ないけど怖くて、気心の知れた仲間以外にはうかつに自分の立場をカミングアウトしたりなんかできないわ』

「そうだよね」

『かといって、職業を問われた時に明確な答えを返せないと、勝手に無職認定されてまたもやヒソヒソされそうな予感がするし。どっちみち面倒くさい事になりそうだから、最初から同窓会なんか行かない方が懸命だな~と』

「うん。私も同意」


そこでふと思う。


麻宮君は当然、参加するんだろうな。


彼はあのクラスメート達とは何らわだかまりはないし、きっと楽しい一時を過ごす事だろう。


というか、彼が居るのと居ないのとでは皆のモチベーションに大きく差が生じるだろうし、幹事の人も強く出席を促すハズ。
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