痛々しくて痛い
「午後はちょっと、皆で研修もどきの事をやりたいと思ってるんだ。だから綿貫さんにだけ任せたい仕事っていうのは今のところないんだよな。かといって時間までボーっとしてるっていうのも苦痛だろうし」

「はい。分かりました」

「じゃあ綿貫さん、椅子持って来て、麻宮君の右隣に座りなよ」


すかさず大庭さんが会話に加わって来た。


「立ちっぱなしじゃ疲れちゃうだろうし。じっくり腰を落ち着けて、麻宮君の仕事ぶりを観察してたら?」

「そうだな」

「うわー。何かすっげープレッシャーなんですけど」


大庭さんの指示と染谷さんの同意に、麻宮君は苦笑を浮かべながら返答した。


「まぁまぁ、もうちょっとだから頑張って。じゃ、綿貫さんはそっちに座って」

「は、はい。お邪魔します…」


上司達の意見に逆らえる筈もなく、私は素直にキャスター付きの椅子を麻宮君の右側まで移動させると、彼の動きを妨げない位置であるかどうか確認してから静かに腰かけた。


「んじゃ、さっきの続きね。ここの『あ~』とか『そうだねぇ』っていう言葉は削っちゃって」

「はい」

「そんで、『ゆくゆくは、ゴールデンタイムに放送されているテレビ番組の提供にも参加できたら良いなぁ~なんて…』の最後の部分を、『参加できたら良いと考えている』に変えようか」

「分かりました」
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