痛々しくて痛い
「はい」

「で、締め切り間際になっても未提出の部署には原稿の進捗状況を確認したり、場合によっては催促したりしなくちゃいけないんだよね」

「ふ、不愉快に思われたりしないでしょうか…?」


私の表情がよほど不安そうだったのか、絹田さんは「プッ」と可笑しそうに噴き出したあと、明るい声音で続けた。


「そこまで深刻にならなくても大丈夫だよ。仕事なんだから、相手だって分かってくれるよ」

「そ、そうですかね?」

「もちろん、居丈高で横柄な物言いなんかしたらダメだけど、綿貫さんならそんな心配はないだろうし」

「あ、そういう点では…」


心配はご無用です。


ただ、無駄にビクビクオドオドとしてしまって、イライラ感を誘ってしまう危険性はあるかもしれませんが。


「いざその時になったらきちんと対応策を考えるとして、とにかく今は目の前にある仕事を片付ける事に専念しよう。編集作業の準備をするから、ちょっと待ってて」

「あ、はい。よろしくお願いします」


絹田さんが自分のPCに向き合いマウスを操作し始めた所で、何となく、正面の麻宮君チームの動きが気になり、チラリと様子を伺った。


やはり過去の社内報を教科書としてデスク上に広げ、それを眺めながら二人であれやこれや意見を述べ合っている。


テーマは割り振られた業務のうち、重役の方達の新年度の訓辞についてのようだ。
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