痛々しくて痛い
伝聞じゃなく、きちんと麻宮君の顔を見て無事を確認できるんだし、私がここに来たのは決して無駄な事ではない。
「ただ…」
なんて、自分自身を納得させている間に医師は続けた。
「全身に軽い打撲傷があり、右手の肘を捻挫していますので、しばらくは痛みが続くと思われます。また、内科的観点から、だいぶ衰弱している状態と言えます」
「…えっ。衰弱!?」
「はい。ここ数日食欲がなく、睡眠も充分に取れていなかったようで」
「そうだったんですか…」
という事はある意味、今日このタイミングで病院に運ばれたのは麻宮君にとっては運が良かったんだ。
そのまま無理して仕事を続けていたら、どうなっていたか分からない。
「いずれにしろ、命に別状があるレベルではありませんので。今、点滴で疲労回復を促す液剤を投与しています。それが終わる頃、ナースコールでお知らせ下さい」
言いながら、医師は歩き出したけれど、「あ」と呟きつつすぐに立ち止まり、振り向いた。
「ところで皆さんは、何か動物関係のお仕事をされていらっしゃるのでしょうか?」
「え?動物?」
颯さんがキョトンとしながら聞き返す。
「はい」
「いえ…?全然関連のない職種ですけど」
「そうですか。いや、先ほどこの部屋を出る時に、麻宮さんがウトウトしながら、うわごとで『たぬき、は…たぬき…』と仰っていたものですから」
「ただ…」
なんて、自分自身を納得させている間に医師は続けた。
「全身に軽い打撲傷があり、右手の肘を捻挫していますので、しばらくは痛みが続くと思われます。また、内科的観点から、だいぶ衰弱している状態と言えます」
「…えっ。衰弱!?」
「はい。ここ数日食欲がなく、睡眠も充分に取れていなかったようで」
「そうだったんですか…」
という事はある意味、今日このタイミングで病院に運ばれたのは麻宮君にとっては運が良かったんだ。
そのまま無理して仕事を続けていたら、どうなっていたか分からない。
「いずれにしろ、命に別状があるレベルではありませんので。今、点滴で疲労回復を促す液剤を投与しています。それが終わる頃、ナースコールでお知らせ下さい」
言いながら、医師は歩き出したけれど、「あ」と呟きつつすぐに立ち止まり、振り向いた。
「ところで皆さんは、何か動物関係のお仕事をされていらっしゃるのでしょうか?」
「え?動物?」
颯さんがキョトンとしながら聞き返す。
「はい」
「いえ…?全然関連のない職種ですけど」
「そうですか。いや、先ほどこの部屋を出る時に、麻宮さんがウトウトしながら、うわごとで『たぬき、は…たぬき…』と仰っていたものですから」