Assassins
話は数時間前に遡る。

「おい、どうするつもりだ雪村」

松岡は目の前の夢追子を見下ろしながら言う。

「お前この女、連れて歩く気か?」

「……」

「殺せ」

松岡は無慈悲に言った。

「コイツは俺達の存在を知った。しかも百八星にいた身だろう。内通者じゃねぇとは言い切れねぇ」

「しかし」

「お前の顔見知りなのをいい事に、近付く為に百八星に利用されている…そうでない保証が何処にある?」

暗殺者は所詮使い捨ての消耗品だ。

やがては野垂れ死に、屍を野晒しにする運命にある。

その消耗品としての期限をどこまで引き延ばせるかは、如何にして危険を寄せ付けないかにかかっている。

不安要素は一切近づけない。

信頼の置けない者は同行させない。

例えそれが身内だとしても。

過剰なまでに他人を信用しない。

それが生き延びる唯一の術だ。

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