Assassins
「……」

アイスピックを取り出し、握り締める亮二。

「り、亮ちゃん…?」

夢追子が亮二を見上げる。

まるで哀願するように、亮二を見つめる。

…あの村での惨劇から10年。

自分一人だと思っていたあの村の生き残りが、目の前にいる。

あの悪夢の夜が訪れるまで、平穏に村で暮らしていた隣人。

幼馴染みとして、平和な村での日々を共に送っていた少女。

あの惨劇を経験したが為に、亮二も夢追子も、地獄を見てきた。

亮二は人間としての感情を失って両手を血に染め、夢追子は女性としての尊厳を奪われて弄ばれ続けてきた。

そして再会した二人。

しかし、もう二人は共にはいられない。

連れてはいけない。

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