Assassins
そんな東京拘置所の面会室。

「亮ちゃん…」

窓一枚を隔て、夢追子は亮二と面会していた。

監視及び会話記録している所員が立ち会う中、二人は向き合う。

…亮二の口からは、何も語られない。

ただ無言で、夢追子の顔を見る。

「…亮ちゃん、怒ってる?私が倉本さんに亮ちゃんの話をした事…」

「……」

「怒ってるよね…亮ちゃんが捕まるように仕向けたんだもの…」

「……」

「でもね!」

夢追子は身を乗り出した。

「私、あのまま亮ちゃんが罪を犯し続けるよりは、逮捕された方がいいと思ってた。だってあのまま罪を犯してたら、亮ちゃんだっていつかは殺されてしまうかもしれないもの。そんな事になるよりは、こうやって塀の中でも、安全な場所にいて欲しかった。ちゃんと罪を償ってほしかった」

「……」

結局夢追子に対して何一つ語らないまま。

「時間だ」

所員が面会時間の終了を告げる。

「…また…来るね」

悲しげな表情を浮かべたまま、夢追子は面会室を出て行った。

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