Assassins
生き残れたなら運が良し。

その運の良さが、偶然ここまで続いただけ。

昨日死んでいても、一年前に死んでいても、別に何らおかしくはなかったのだ。

死んだのが、たまたま今日だった。

それだけの事。

…今日まで、全ての暗殺を完遂する事が出来た。

伊庭の暗殺者としての生涯に悔いは無し。

…いや。

一度。

一人だけ。

暗殺完遂できぬ標的がいたか。

伊庭は、ぼやけ始めた視界でコンテナの壁を見る。

あのコンテナを隔てた向こう側にいる男。

雪村 亮二。

彼だけが、伊庭にとって唯一暗殺できなかった男。

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