砂漠の賢者 The Best BondS-3
*
エナは運が良い。
悪運が強いというべきか。
なんとなく足の向く方向に進んでいただけで、ラファエルを拉致した男の姿をほどなくして見つける事が出来るのだから。
「……あっ」
口の中で小さく叫ぶ。
行く手を阻む人と人の隙間。
見えたのはほんの一瞬。
町の外れの茶色い土の道の先。
遠ざかっていくずんぐりむっくりの馬二頭の後ろに繋がれた荷台の前に乗る男の姿に見覚えがあった。
エナは垂直に跳んでみた。
やはり間違いはない。
距離はざっと見積もって二百メートル。
荷台を引いているとはいえ、相手は馬。
気付かれてしまい、スピードを上げられ体力勝負になってしまったら……もしかしたら負けてしまうかもしれない。
万が一、撒かれてしまったら大幅に遅れをとってしまうことになる。
「……あのヤロ……っ!」
華奢な足が力強く一歩踏み出した。
砂が石畳と擦れあう音が人のざわめきに飲み込まれる。
「ちょっとどいてっ」
肩がぶつかる。
小さな体が人込みに溺れているかのようにバタつく。
けれど、視線は馬車から離さない。
一度は見失ってしまったもの。
二度目が無いとは限らない。
.
エナは運が良い。
悪運が強いというべきか。
なんとなく足の向く方向に進んでいただけで、ラファエルを拉致した男の姿をほどなくして見つける事が出来るのだから。
「……あっ」
口の中で小さく叫ぶ。
行く手を阻む人と人の隙間。
見えたのはほんの一瞬。
町の外れの茶色い土の道の先。
遠ざかっていくずんぐりむっくりの馬二頭の後ろに繋がれた荷台の前に乗る男の姿に見覚えがあった。
エナは垂直に跳んでみた。
やはり間違いはない。
距離はざっと見積もって二百メートル。
荷台を引いているとはいえ、相手は馬。
気付かれてしまい、スピードを上げられ体力勝負になってしまったら……もしかしたら負けてしまうかもしれない。
万が一、撒かれてしまったら大幅に遅れをとってしまうことになる。
「……あのヤロ……っ!」
華奢な足が力強く一歩踏み出した。
砂が石畳と擦れあう音が人のざわめきに飲み込まれる。
「ちょっとどいてっ」
肩がぶつかる。
小さな体が人込みに溺れているかのようにバタつく。
けれど、視線は馬車から離さない。
一度は見失ってしまったもの。
二度目が無いとは限らない。
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