不良リーダーの懸命なる愛 〜プール編〜
「は、はいっ!!だ、大丈夫ですよ!?」
「そう?ならいいけど、なんか上の空って感じでぼぉ~っとしてたから、体調でも悪いのかと…………って、なんだあれは…!?」
と、ヤスさんが開け放たれた扉の向こう側へ目をやると、霧島くんに群がる人だかりの光景にかなり驚いたようで少し目を見開いていた!
あ!そうだった!!
のんびり人間観察している場合じゃなかったよ!!
「あの、ヤスさん。これはその、7組の人達が霧島くんに用事があったみたいで、」
「 “用事” ……って、あんな人数で?しかも屋上にまで押しかけてくるって……。」
ヤスさんは呆気にとられてしまったのか、そう呟くとそれ以上言葉が出てこなくなってしまったみたいで数秒間停止状態になってしまった…!
ど、どうしよう!!?
あのヤスさんが、固まっちゃったよ!
やっぱり屋上に来たのは間違いだったのかも。
思えばこの場所は、霧島くんとヤスさんにとっては唯一の安らぎの場所。
その場所に無断で足を踏み入れてはいけないのだと改めて思った。
これ以上ここに居るのは二人の迷惑になってしまう!
……やっぱり出直そう。
それに霧島くんがプールに興味がないことも分かったし。
私がここに居る意味なんて、もう無いから。
心がだんだん寒くなるのを感じた私は今すぐここから離れようと階段の方へ足を向ける。
「それじゃあ、私はこれで…。」
とヤスさんに聞こえるか危ういくらいの力の無い声でそう告げた。
チケット、キャンセルしに行かなくちゃ……。
手にしたチケットをもう一度見て、私は霧島くん達に背を向けて歩きだす…
……ところだった!
「あれー!?あそこにいるのって、もしかしてピュア子ちゃん!!?」
え”!?
ま、まさか、この声はっ!!!
じゅ、准平くん!!
やけに甲高い声が辺りに響き、それはもちろん私の背中をも貫いた!
「あれ?鳴瀬さん、もう帰るの?まだ理人に逢ってないんじゃない?遠慮することはないよ。あいつらただ理人にかまってほしいだけだからさ。あはは。」
ゲッ!そしてヤスさんに引きとめられてしまった!!
さり気なく帰ろうと思ってたのに!
と、とにかく早く退散しなくては!
「い、いえ!あの、私ちょっと用事ができてしまったので、またの機会に、」
“お邪魔します。”
そうヤスさん言おうと思って、振り返ると……。
「え?咲希?」
ぎゃー!!
ききき霧島くん!!!
不覚にも、人の輪の中心人物の彼と目が合ってしまった…!
完全に霧島くんに気づかれてしまった私は、ときめきとは明らかに異なる胸の高鳴りを抑えるのに必死でいたのだった。
「そう?ならいいけど、なんか上の空って感じでぼぉ~っとしてたから、体調でも悪いのかと…………って、なんだあれは…!?」
と、ヤスさんが開け放たれた扉の向こう側へ目をやると、霧島くんに群がる人だかりの光景にかなり驚いたようで少し目を見開いていた!
あ!そうだった!!
のんびり人間観察している場合じゃなかったよ!!
「あの、ヤスさん。これはその、7組の人達が霧島くんに用事があったみたいで、」
「 “用事” ……って、あんな人数で?しかも屋上にまで押しかけてくるって……。」
ヤスさんは呆気にとられてしまったのか、そう呟くとそれ以上言葉が出てこなくなってしまったみたいで数秒間停止状態になってしまった…!
ど、どうしよう!!?
あのヤスさんが、固まっちゃったよ!
やっぱり屋上に来たのは間違いだったのかも。
思えばこの場所は、霧島くんとヤスさんにとっては唯一の安らぎの場所。
その場所に無断で足を踏み入れてはいけないのだと改めて思った。
これ以上ここに居るのは二人の迷惑になってしまう!
……やっぱり出直そう。
それに霧島くんがプールに興味がないことも分かったし。
私がここに居る意味なんて、もう無いから。
心がだんだん寒くなるのを感じた私は今すぐここから離れようと階段の方へ足を向ける。
「それじゃあ、私はこれで…。」
とヤスさんに聞こえるか危ういくらいの力の無い声でそう告げた。
チケット、キャンセルしに行かなくちゃ……。
手にしたチケットをもう一度見て、私は霧島くん達に背を向けて歩きだす…
……ところだった!
「あれー!?あそこにいるのって、もしかしてピュア子ちゃん!!?」
え”!?
ま、まさか、この声はっ!!!
じゅ、准平くん!!
やけに甲高い声が辺りに響き、それはもちろん私の背中をも貫いた!
「あれ?鳴瀬さん、もう帰るの?まだ理人に逢ってないんじゃない?遠慮することはないよ。あいつらただ理人にかまってほしいだけだからさ。あはは。」
ゲッ!そしてヤスさんに引きとめられてしまった!!
さり気なく帰ろうと思ってたのに!
と、とにかく早く退散しなくては!
「い、いえ!あの、私ちょっと用事ができてしまったので、またの機会に、」
“お邪魔します。”
そうヤスさん言おうと思って、振り返ると……。
「え?咲希?」
ぎゃー!!
ききき霧島くん!!!
不覚にも、人の輪の中心人物の彼と目が合ってしまった…!
完全に霧島くんに気づかれてしまった私は、ときめきとは明らかに異なる胸の高鳴りを抑えるのに必死でいたのだった。