月の綺麗な夜に

「美月ちゃーん!」

眩しい太陽がうっとおしくて下を向きながら歩いていると、聞きなれた親友の声がした。


振り返るとやっぱり親友の知香がいて、そのあまりの可愛さにほんわりと温かい気分になった。


「おはよう、美月ちゃん!今日もいい天気やね!」

「やっぱり春は最高やわー!」と、知香は気持ち良さそうに目を細める。


全く性格も外見も違う知香が、何故自分なんかと友達でいてくれるんだろうと、たまに疑問に思う。


そんな事を前に聞いてみたら、「私は美月ちゃんが大好きやから!」と、屈託なく笑いかけてくれた。

ただ家が近くて幼馴染みだから友達でいてくれていると思っていた私は、それはそれは嬉しく思った事を覚えている。


「そう?めっちゃ暑くてうんざりやけどな」


あぁ、可愛くない私。下らない私。


そんな私に知香は、「美月ちゃんはどっちかっていうと秋が好きやもんね!」と、男ならとろけそうな笑顔を向けてくれた。


こんな笑顔を毎日見れる私はとても幸せ者なのかもしれない。


それからは一緒のクラスやったらいいなとか、今年でついに受験生やなとか、とりとめもない話をしながら学校に向かった。
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