月の綺麗な夜に

クラス替えの掲示板の前には暑苦しい人の群れ。


全員死んでしまえばいいのにとか思う自分は、間違いなく心が汚れきっている。

「うわー、全然見えへん!美月ちゃん見える?」


背の低い知香がぴょんぴょんと跳ねながら尋ねて来た。


その姿を見た男子生徒達が「今日も知香ちゃんかわええわー」と、うっとりしながら呟いていたのを私は見逃さなかった。


冷たい目線を送ると、「うわ、無愛想姫に睨まれた、こえー」と言いながら逃げる。


なんやねん無愛想姫って、と無駄なつっこみいれていると、知香が隣でご立腹だった。


「ちょっと!聞いてんのん?美月ちゃん!」


「え、あ、ああ。クラスやんな。えーと知香と私のクラスは…」


比較的背の高い私の身長でやっと掲示板の文字が見えるくらいだ。


私と知香のクラスはすぐに見つかった。


「あったあった。私と知香同じクラスやで。1組」


「ほんまにー!やったー!初めて同じクラスなれたね!」


はしゃぎながら、「嬉しいわー!」と抱きついてくる。それがなんだか嬉しかった。
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