続・祈りのいらない世界で
「ちょっと!!あんた一応病人なんだから大人しくしてなさいよ!!」



カンナとケンがイノリを宥めていると、キヨが大声で泣き出した。


心配してくれたらしいフウがキヨの足に絡みつく。




「うぁぁぁん!!!!バカイノリっ!!アホっ…ハゲっ…つり目…寝癖ぇ〜…」


「…おい。泣きながらちゃっかりけなしてんじゃねぇよ」


「だって…会社から連絡が来た時、イノリ死んじゃったのかと思ったんだもん。

…私、やだよ。イノリに甘えられないのも、頭撫でて貰えないのも、イノリの変な匂いが嗅げないのも、ムカつく憎まれ口が聞けないのも…ライオンみたいな寝癖をつけた頭を見れなくなるのも嫌だ!!!!

イノリが隣りにいないのはイヤっ…」


「…喜んでいいのか悪いのかわからねぇ言葉だな。
大丈夫、死なないよ。美月の腹ん中にいるガキの顔見るまではな」


「それじゃ短いよ」


「…じゃあ、孫の顔見るまではにしとくか」




イノリが悪戯な笑みをキヨに向けるとキヨはイノリに抱きついた。
< 200 / 386 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop