続・祈りのいらない世界で
「イノリの着信音だ♪」



キヨが嬉しそうに携帯を開くと、イノリからメールが届いていた。




『仕事中はメールするなって言ってんだろ!!そんなに暇ならフウと寝てろ!!』



冷たいイノリのメールを読んだキヨは再び携帯を投げると、フウの横でふて寝をした。


すると再び携帯が鳴る。




『ちゃんと早く帰るからいい子で待ってろ。帰ったら子供の名前でも考えるか(`ー´)』


「ふふっ。この顔文字、イノリみたい」



なんだかんだで優しいイノリの態度に満足したキヨは、携帯を握り締めたままフウと共に昼寝をし始めた。



そんなキヨのある1日。






その日の夜。

イノリとケンとカンナが帰宅し、夕食を食べ終えたキヨとイノリがリビングでテレビを観ていると、2階からカンナとケンが言い争う声が聞こえてきた。



カンナとケンが言い合う事は別に珍しくはない。

しかし、今日の喧嘩はいつもと違った。




「うるせぇな!近所迷惑だろ!!それにフウ泣いてんのに、ほったらかしてんじゃねぇよ!」



いつもは言い争う2人を見てフウが泣くと、喧嘩をやめるカンナとケンだが、今日はフウが泣いてもイノリが怒鳴っても言い合いをやめない。




「…美月。フウこっちに連れてこい。あれじゃ可哀相だ」

「わかった」



キヨは急ぎ足で2階へと向かった。




「…フウ、おいで」



キヨがフウに手を広げると、泣き喚いているフウはトテトテと駆け寄ってきた。


キヨはフウを抱き上げるとリビングへと戻った。
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