続・祈りのいらない世界で
カンナがリビングに向かうと、イノリとキヨがソファで寄り添って楽しそうに話していた。


カンナがドアに寄りかかると、ドアはギィ…っと鈍い音を立てる。




「…カンナ?どうしたの?そんな所に突っ立って」



カンナに気付いたキヨがカンナに歩み寄ると、カンナはキヨに抱きついた。




「カンナ?」


「キヨっ…!私…キヨみたいな素直な女の子になりたい!!寂しいから1人にしないでって、好きだからそばにいてって…どうしてそれだけの言葉が言えないの?…どうしてケンはっ…引き止めてくれないのよぉぉ!!!!」



カンナが号泣する姿に驚くイノリと、もらい泣きをするキヨ。


今のカンナはまるで、イノリにさよならを告げた時のキヨみたいだった。




好きだけど離れる。
好きだから離れる。


自分の為、相手の為、その2つの感情が自分に嘘をつかせる。

だったら…




「カンナ?ケンに自分の本当の気持ちが言えないのなら、まずはフウの為に一緒にいてって言ったらいいよ。

きっと人間は自分と相手の事しか考えないから、上手く向き合えないんだよ。だったら他の人の為なら、変な感情に左右されないで向き合えるはずだよ」




あの頃、私がそうだった。


自分が苦しみたくないから
イノリに苦しんで欲しくないから

だから離れた。




でも、それは間違いだった。


自分の為、相手の為にした事が結果的には自分も相手も、そして周りの人も苦しめることになったから。




「離れて寂しいのはカンナだけじゃない。ケンだって同じだよ?ケンはいきなりの事に戸惑ってるだけよ。
だから今はまだ、カンナだけが決断を出すのは早いと思う。

…感情的にならないで、ゆっくり少しずつケンと話し合えばいいよ。私とイノリもいるんだから、何も心配しなくていいんだよ」



「…キヨは頼もしくなったわね。もうキヨもお母さんだもんね」




カンナはキヨの頭を撫でると、大きく深呼吸をした。
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