続・祈りのいらない世界で
「簡単な事だよ。
俺とお前が結ばれたのは生まれる前から決められていた運命。
運命に逆らおうとして離れたり、すれ違ってきたけど結局、お前と俺が結ばれたのが変えられなかった運命」


「…やっぱりよくわからない」


「いいよ。お前は何もわからなくていいんだ」



イノリはポンポンとキヨの頭を撫でた。




イノリは、もし私が地元に戻りたいと言ったら何て言うかな?

仕事があるから無理だって言うかな…



何も気にしないでワガママを言えた子どもの頃に戻りたいよ。




「…美月。何かあるなら何でも言えよ。お前は俺に壁を作るな」



いきなりイノリがそう呟くと、心の中を読まれたと思ったキヨはギクッと体を揺らした。




「じゃあさ…イノリ。いつか私達がヨボヨボになって、子どもも独り立ちしてまた2人っきりになったら…ここに戻ってこようね」



キヨの言葉にイノリは何の返答もしなかった。



戻って来るつもりがないのか
ただ聞いていなかったのか…




辺りが暗くなり、空に星が輝き始めた頃。


2人は家へと戻っていった。
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