続・祈りのいらない世界で
「……まま、ふう、しゅちー?」

「…〜うぁぁぁん!!!!フウっ…フウ!!大好きだよっ。ごめんね」



キヨが屈んでフウを抱きしめると、フウもキュッとキヨに抱きついた。


その光景を見ていたイノリはフッと息を漏らして笑うと、抱きしめ合っているキヨとフウを抱き上げた。




「よし。じゃあ墓参りがてら散歩でもすっか。…フウ、肩車してやろうか?」

「………やっ」



フウがキヨにすり寄ると、イノリはカクッと頭を下げる。

うなだれながらキヨとフウを抱っこして歩くイノリ。




冬の冷たくも柔らかい風が、今だけは家族である3人の間をすり抜けた。




「そうだ、二次会イノリはどうする?」

「お前はどうしたいんだよ」

「私?私はお酒呑めないし、煙草吸われたら困るから行かない方がいいんだろうけど…。行きたいかも」

「じゃあ行くぞ。煙草吸おうとする奴は俺がぶん殴ってやる」



夕日が空をオレンジに染める頃、家へと帰ったキヨ達はケンとカンナと共に同窓会会場へと向かった。



会場になっている居酒屋には、既に数人のクラスメイト達が席に座っていた。




「きゃーっ!!美月達久しぶり」



キヨ達に気付いたクラスメイトがキヨ達に駆け寄る。




「久しぶり。みんな老けたね」

「美月は大人になっても小さいね。それより美月、太ったんじゃない?お腹出てるけど」

「違うよ!!私、今妊娠5ヵ月なんだよ♪」



キヨの言葉を聞いていたクラスメイト達は、驚いた顔をする。




「え!?美月がお母さんになるの!?大丈夫!?」

「どういう意味よ!!」

「だって美月って何か抜けてるというか、危なっかしいというか…」



クラスメイト達は本当に心配そうな顔をする。
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