続・祈りのいらない世界で
「今日1日入院だけど、白衣の天使と変な事しないでね」


「するか。ここ病院だぞ」


「病院じゃなかったらするの?」


「うるせぇな。しねぇよ。…美月みたいなガキが好きな俺がナースを好きなワケねぇだろ。バカが」



イノリはそう言うキヨの背を向けて寝息を立て始めた。



キヨはきっと今そばにいても邪魔になるだけだと思い病室から出ると、ナースステーションにいる看護士に声を掛け、病院を後にした。





看護の知識なんてない。

だから今、イノリの為に何が出来るのかなんてわからない。


キヨはそれが悔しかった。




「…看護士目指してればよかったなぁ…」



看護士だったなら傷の経過や痛みがわかるのかもしれない。


ケガをした人の精神的な面を理解してあげられるのかもしれない。




そんな風に悔やんでも仕方ないと思ったキヨは、本屋に向かいある本を購入した。





次の日。

フウを連れてイノリを迎えに来たキヨ。



病室のベッドの上には仏頂面のイノリが座っていた。




「迎えに来たよ。手術どうだった?」

「全身麻酔だったから記憶ない。腱は繋がったみてぇだけど、また無理に伸ばすと切れるから暫くは固定してろだってさ」

「そっか、よかった」

「にしても、病院は消毒くせぇし飯は味薄いし、ベッドは固ぇし…。入院なんてするもんじゃねぇな」



キヨはブツブツと文句を言うイノリに笑いながら、キブスと包帯で固定されているイノリの手を取った。




「ふふっ。ドラ○もんの手みたいね」



キヨがそう言うと、イノリはギロッとキヨを睨みつけた。


どうやらイノリはご機嫌ナナメのご様子。
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