続・祈りのいらない世界で
「どうした?どっか痛いのか?」



キヨは首を横に振る。



「じゃあなんだ。何があった?」

「…っ!!イノリがねっ…イノリが…」

「俺が?」



キヨはイノリの服を握り締めながら話し始めた。




「イノリがっ…私の事、置いてけぼりにしたの!!また…いなくなっちゃったの…」

「は!?俺はここにいるだろ」

「…違う。今日一緒に病院行こうねって約束したのに」



どうやらキヨは、診察に1人で行ってしまったイノリが気に食わないらしい。



キヨの泣いていた理由を知ったイノリとケンは溜め息をついた。




「ったく…何事かと思えば。それはお前が昼寝すんのがいけねぇんだろ!!起こしても起きねぇから1人で行ったんだよ」


「やだ!!置いてけぼりにしないで!!」


「わかった、わかった。もう仕事以外でお前を置いてどこかに行ったりしねぇから。大丈夫だよ」



イノリはキヨの頭をポンポンと叩く。



少し落ち着いたキヨは、泣き疲れたのかイノリの腕の中でうたた寝を始めた。
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