続・祈りのいらない世界で

35・最後に祈る願い事

「美月、外行くぞ」

「外?もう夜中の1時だよ!?」

「いいから早くしろ」



只今の時刻、午前1時。

就寝の準備をしていたキヨの元へコートを羽織ったイノリがやって来た。



「コンビニなら1人で行ってきなよ」

「ちげぇよ!今日はオリオン座流星群がすっげぇよく見えるんだってニュースで言ってたのを思い出したんだ!」

「流星群?」

「とにかく外出るぞ」



イノリはブランケットでキヨをくるむと、モタモタしているキヨを抱き上げ、家の外に出た。




「家の前じゃ電灯が邪魔だな。公園に行くか」

「うぅっ…寒い」



まだ本格的に冬ではない時期だが、やはり夜は冷える。


キヨは体を震わせながら白い息を空に向かって吐いた。



「うん。確かにいつもよりは星出てるね」

「でもやっぱ、地元よりは見えにくいな」



公園に着いた2人は比較的暗い場所に立って空を見上げた。



澄んだ地元の空とは違い、少し淀んだ都会の空は星が遠い。
< 376 / 386 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop