続・祈りのいらない世界で
「フウは私とケンと行くのよ。ばーばも待ってるよ」

「……いやーん!!よーちゃんがいいっ!…きよ―!!」




泣き叫びながらじだんだを踏むフウをカンナは抱き上げ、チャイルドシートに座らせた。



ヨウセイは何が起こったのだと言うように、小さな目を大きく開いている。




「じゃあ行くわね」

「うん。気を付けて帰ってね。おじちゃんとおばちゃんによろしく」



キヨとカンナは抱きしめ合う。




「イノリ、俺がいないからって泣くなよ」

「うっせぇ!誰が泣くかよ」



イノリがケンの頭を殴ると、ケンは嬉しそうに頭をさする。




「…バイバイとか、またねなんて言わないでね?」

「言わないよ。俺らは家族だもん。…言うとしたら『いってきます』かな」



ケンの言葉にキヨは涙を流した。




「もうキヨ!泣かないでよ」

「だって…だってぇ〜フウがぁ」

「フウのせいにするなよ」



暫く家の前で笑いあった後、泣き疲れて眠るフウを乗せた車に乗り、ケンとカンナは去って行った。




25年間、片時も離れず生活を共にした幼なじみ達は

今日をもって解散した。
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