続・祈りのいらない世界で
台所に行くと、お腹が減ったカゼが冷蔵庫を物色していた。



「カゼ?お腹空いたの?ごめんね、今日私が炊事当番だったよね」



キヨは急いでご飯の準備をしようと髪を結んだ。




「………ご飯なら大丈夫。今カンナとケンがテイクアウト買いに行ってるから」


「そっか。気遣わせちゃったんだね、悪い事しちゃったな」



キヨは申し訳なさそうな顔をするとイノリ用のお粥を作り始めた。




「………キヨ、イノリいいの?いい雰囲気だったけど」

「あれは違うよ!!イノリが勝手に…」



キヨが真っ赤になって首をブンブンと振ると、カゼはフッと微笑んだ。




「………久しぶりの熱だから心細くなったのかな。キヨに甘えたくなったんだね」

「…カゼ。私ね、いつも甘えるしか出来ない私がイノリを甘えさせてあげる事が出来るなんて思わなかったよ。だから今、凄く幸せ」



キヨが幸せそうに微笑むとカゼはキヨの頭を撫でた。




「よし、こんなもんでいいかな。お粥なんて初めて作ったけど、案外簡単だったな。…カゼ、味見してくれる?」

「………うん。いいよ」



キヨはプスプスと泡の吹いている黒焦げのお粥らしからぬ物をスプーンですくうと、カゼに突き出した。


カゼはそれを口に運ぶ。




「…どう?」

「………うん。パンチの効いた味」

「それは美味しいって事?不味いって事?」

「………キヨが作ったのに不味いワケがない」



食べられる物なら何でも食べてしまうカゼを試食係にする地点で間違っている。




しかし、カゼの言葉に機嫌をよくしたキヨは自ら味見をする事なく、お粥をイノリの部屋に運んだ。
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