不要なモノは愛
何?ドキンって、何?

初めての感覚に心はかなり揺れ動いた。

ズンの次はドキン?

またもや正体不明な感覚に体が動けなくなる。


「どうした?そこ、痛むのか?」


動かない私を心配したのか、松野兄が顔を覗き込んできた。痛むのか?と、指さされた場所は心臓のそばで、私の左手はその上にあった。

無意識にドキンと傷んだ部分に左手を置いていたことに、言われて気付く。何だろう?

初めての感覚の答えをすぐに知りたいけど、松野兄には聞けない。


「いえ、何でもないです」


「じゃあ、帰ろう。送るよ」


「いいえ、結構です。松野さんの家はこの近くではないですよね?」


前にもこの近くで偶然会って、食事に行ったが、一樹からの情報では松野兄の住んでいるマンションはこの駅から3駅先の駅近くにあるということだ。

それなのに、今夜もこうやって現れるなんて、不自然だ。


「ん?まあ、この辺ではないけど。小夏に会いたいから来ただけだし、気にするなよ。ほら、帰るぞ」
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