不要なモノは愛
そして、さらに翌日の夜、私は、フランス料理店の個室で松野兄と向かい合って座っていた。

私の隣には秋絵が座り、松野兄の隣には聖斗くんが座る。並ぶ松野兄弟を見ると与えるオーラは違うものの、顔立ちはよく似ていて、紛れなく兄弟だと改めて実感する。


「いらっしゃいませ。オーナーシェフの桜井といいます」


ウェイターさんがメニューを置いていったあと、白いユニフォームを身に纏ったシェフが挨拶に来た。オーナーシェフが直々に来るなんて思わなかったので、私と秋絵は何事?と顔を見合わせた。

松野兄は特に顔色を変えなかったが、聖斗くんが立ち上がって、桜井さんの隣に立つ。

桜井さんも松野兄弟に負けずとカッコいい。少し日本人離れした顔立ちで堀が深く、キリッとしている。


「兄さん、こちらが桜井さん」


「ああ、どうも。聖斗が世話になっています」

紹介された松野兄は、軽く頭を下げた。桜井さんは「はじめまして」と笑ったが、なぜか緊張しているようで、ぎこちない。
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