ひまわり
「それで竹内がさ…」
仲のいい友達の話をする。
彼の名前は広輝、一つしたの男の子だ
そーなんだ、とニコニコと話を聞く
心なしか彼の顔は紅潮しているようにも思えた。
『何も食べたくない。やる気もない』
スマホに浮かび上がるlineの通知を見る
呼び戻そうとしているのがよくわかった
ー何を必死になっているの?
ーあたしを3年も曖昧にしていたくせに。

心の中であいつを思い出す
可愛い顔して、世の中ではイケメンと言う部類に入るであろう。
少し高めの身長に、低く心地いい声
笑うと子供みたいになる、ゲーム好きな引きこもり。
見た目ほど女癖も悪くなかった。
いや、何度も泣かされていたから悪いのかもしれない。
ー今更、何を言っても無駄なんだから

ねえ、あたしはこの場所でなにをしているんだろう

君に笑顔を振りまく自分に寒気がする
あいつにつく、『そんなの知らない』という嘘に身震いする。

夜の田んぼにお似合いのカエルの声だけがあたしの耳に届いていた
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