みんなの冷蔵庫(仮)2
シグマはもう既に両手をピンク色に染め、さっきまで京極がいた場所に向かい、腕を伸ばしていた。

やっぱりいない。

京極は消えていた。



早く早く早く!!



ほんの数秒なのに、長く感じる。

シグマの出す光に包まれて、京極がまたちゃんと現れる。

ホッとして、嬉しくて。

腰が砕けたように脱力し、へなへなとその場にしゃがみ込んだ。


「おい、いくらなんでも早過ぎる。中に五秒もいなかった」


京極は片手を腰にあて、もう片方の手を額に添えた。

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